中山式自然療術では、腹筋をさわる事は、診察の基準にもなります。
これまでも述べてきたように、腹部にある筋肉群は、身体の中心を支える為に、人体中でも最大最長のもので、それが複雑に入り組んで、骨格をとり囲んでいます。
大きくは、背筋を伸ばす筋肉群、身体を曲げる為の筋肉群、骨盤を前傾させる筋肉群と、それを反対に動かす筋肉群に分けられます。
腰痛は、こうした腰を支える筋肉の衰えに、体液やガス、宿便などによる腹内圧の上昇が加わって引き起こされるのです。
腰部の筋肉は互いにバランスをとって身体を支えているのですが、一部の筋肉が衰弱すると、全体が均衡を失い、他の筋肉に過度の緊張を強いる事になり、やがて腰痛へと移行します。
妊産婦や肥満体の人がその顕著な例ですが、この前後左右のバランスの面から、腹筋による診断が可能になるのです。
人は腰が痛む時、当然腰のあたりに手を当てます。
決してお腹を抑えたりはしません。まっすぐに伸ばせない、あるいは曲げると痛いという場合に、意識はどうしても背中側に行きがちですが、実は、最も負担を強いられているのは、腹筋側のほうなのです。
こうした点から、腹筋をさわっていると、背中のどの部分に筋肉の緊張があるかわかるのです。
お腹の方に張りや凝りがあれば、反対側の筋肉も必ず張っています。
どちらかに疲労があれば、骨格をはさんだどちらかがまた、それを補おうと緊張する。
そして運動が十分にできなくなり、さらに衰弱が広がっていく。
当院も開業15年となり、今まで多くの様々な症状の患者様を施術してきた経験と、腰痛と筋肉との因果関係などが、腹筋を触れば即座にそれを読み取るようになりました。
腰痛の仕組みがわかってくれば、それも当然なのですが、筋肉の連なりから、凝りが頸骨のあたりから発しているといったことがわかるのです。
たまに得意になって｢私は人が立っている姿を見ただけで、どこが悪いのかわかるんだ｣などと言う治療師がおりますが、腰痛はそれほど単純なものではありません。
勿論私も、立っている姿や歩いている姿を見ただけで、ある程度の事は診断がつきますが、それだけで、すぐに骨格の矯正にとりかかれば、かえって患者様に緊張感を与えてしまい、施術の効果は半減してしまいます。まず、腹筋をさわる事によって、筋肉のどこが衰えているのかを見極め、その後の施術の手順を決めていく。
これが中山式自然療術のやり方です。
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くちき整体療院
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