社会環境の変化で、最もワリを食っているのは自律神経です。
自律神経とは、血管や内臓をはじめ内分泌腺、汗腺、唾液腺などの機能を自動的に調節する神経です。
手足を動かす時のように意識による指令を受ける事なく、心臓や胃腸を自ら統御する、私たちの身体の中の独立王国。
つまり、前述のホメオスタシスを支える中心的役割を果たす神経とも言えます。
そして、実はこの自律神経が、腰痛に深く関わっているのです。
人間の神経系統は伝達のしかたによって大きく二つに分けられます。
一つは、外部から集められた情報を処理する統合部門である中枢神経。
これは脳と脊髄とが属しています。
一方、肝心の外部からの情報を集める係もなければなりません。
また、中枢神経の指示に基ずき、各器官や組織に命令を伝える実践係も必要です。
これら知覚部門、実施部門をつかさどる神経系統を抹消神経系と言います。
自律神経は、その抹消神経の一つに属しています。
自律神経には、お互いに逆の働きをする交感神経と副交感神経の二種類があり、
どちらかが Yes と言えば、もう一方が
No という具合にバランスをとりながら機能しています。
双方の監視体制のもと、抑制したり活性化させたりの活動を繰り返しながら、私たちの身体をコントロールしているのです。
そして、これらの神経は、脊髄を中心に縦横に張り巡らされています。
とりわけ、血管を拡張させたり、胃腸の働きを促進したりする副交感神経は、脊髄神経のうち仙骨神経と密接につながっています。
仙骨神経の代表枝が坐骨神経であることは前にも言ったと思いますが、坐骨神経痛に代表される鈍い持続性の痛みには、自律神経を構成する線維と同じ神経系線維が関与していることがわかっているのです。
近頃は、自律神経とストレスとの関係が大きく取り上げられるようになってきました。
現代社会における過剰なストレスによって、自律神経に乱れが生じ、様々な身体の不調が表面化しているのです。
腰痛も例外ではありません。いえ、むしろ腰痛こそ、もっと自律神経の面から考えるべきなのではないでしょうか。
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